クラッチの不具合の有無の調査のお願い

ロープレスキューで近年人気のクラッチ。

メーカーからクラッチ( CLUTCH )の調査依頼がありました。

安全のためのクラッチをお持ちの方は確認をお願いします。

以下、解説のユーチューブショート動画です。


問題の部分は、クラッチの先端(裏)の部分のピンです。

通常は以下のように段差がなく平らになっています。

不具合のあるものは、以下のようにピンが飛び出して盛り上がっています。


今回の対象製品は、製造番号が 2024 324 – 001 から 2025 100 – 999のものです。


2024は年

324は日

その年の324日に製造されたことを示します。

製造番号は以下の部分にあります。

以下の写真では、2000年134日目に作られたことを表しています。

その下のハイフンより下の番号はその日に作られたロットナンバーです。



問い合わせフォームはこちら(英語です)

なお、当社で販売したクラッチはこの製造番号のものはありませんでした。

とはいえ日常点検、定期点検も適切に実施し安全な使用をお願いします。

もやい結びの欠点-リング荷重



もやい結びは、キングオブノットと呼ばれ、万能な結び方で、レスキューでは三打ち救助をはじめロープレスキューでも使用される結び方です。

そんなもやい結びですが、1つ大きな欠点があります。

それがもやい結びの欠点-リング荷重です。

リング荷重とは、もやい結びの輪(リング)の部分にひっぱりの荷重をかけると結びがほどけてしまう危険な行為を指します。

輪(リング)に荷重が掛かることからリング荷重と呼ばれます。



通常のもやい結びです。末端処理はしていません。



もやいのリング部分に荷重をかけると





末端が引っ張られ徐々にゆるんで来ました。



あっと思った瞬間!



ほどけてしまいます。

過去にクライミングの世界でこのリング荷重による事故が何件か発生しています。

スタティックロープ、三打ちロープはたまた何か命綱のような使い方をする場合で、もやいを使用する時は、リング荷重に気をつけ、リング荷重を掛けない、万一のリング荷重に備えて末端処理を必ず実施することを行ってください。


末端処理の方法は、多くあるのですが以下では、ロープレスキューで行われる代表的な、もやい結びの末端処理の方法を紹介します。

もやい結びの末端処理 その1

もやい結びの末端処理 その2

また、そもそものもやい結びの結び方とリング荷重について動画や写真で紹介しています。

もやい結びの結び方と末端処理とリング荷重に関する情報の整理


ニュートン( N ) ちからの単位




カラビナやアンカープレートに記載されている、KNという刻印をよく目にすると思います。KNのNはちからの単位でニュートンと呼びます。

この写真では、MBS50KNと記載されています。

MBSとは、Minimam Breaking Strength(ミニマムブレーキングストレングス)の頭文字をとったもので、最小破断強度を意味します。

スタティックロープはもちろん負荷がかかるレスキュー用品で使用される用語です。これは、素材や装備が破断(切れたり壊れたり)するまでに耐えられる最低限の力を指します。MBSは、適切な資器材をを選ぶそして組み合わせるための目安となります。

また、写真では、WLL 12.5KNの文字も見えます。

記載されている「WLL」とは、Working Load Limit(作業負荷限界)の略です。これは、安全に使用できる最大の負荷(重さ)を示す基準であり、レスキュー用品だけでなく、工場で使用されるクレーン、チェーン、シャックルなどの荷重を扱う機器でよく見られる表記です。

そしてそれらに記載されている単位は、KN(キロニュートン)で表記されています。

そこで今回は、ニュートンについて整理します。


ニュートンは力の単位で、この名前は、あのリンゴが落ちることによって地球の重力を発見した物理学者のニュートンに由来します。

私たちが普段よく使うKgは質量の単位で、力の単位とは少し違います。

ウィキペディアで調べてみると

———————————–
1ニュートンは、1kgの質量をもつ物体に1メートル毎秒毎秒(m/s2の加速度を生じさせる力と定義されています。
地球表面において質量1キログラムの物体の重量は約9.81ニュートンです。
—————————


なお、レスキューでよく使われる単位は、1kNなので、ニュートンの千倍


1kN=1000N 1000N÷9.81=101,9kgとなり

1kNは約100kgとなります。


私もそうでしたが、物理が苦手な人は、ここまで説明しましたが上記忘れて下さい。



ただ、ただ、1kNは約100kgの結論を覚えて、もしなぜ1kNは約100kgか聞かれたら、「それは物理法則だから」と答
えるというのもひとつの手ですが、

簡単に説明すると、kgは、質量の単位、すなわち量の単位です。

KNは、力の単位です。

量と力を区別する理由は、

100kgの物は、平坦な場所でも坂道でも100kgです。

但し、平坦な場所でなく摩擦抵抗の多い坂道を100kgの物を引っ張り上げるには、どれだけの力(パワー)が必要か、また、その必要とされるパワーによりロープをはじめ資器類がどれだけの力で引っ張られるのかを知りたいですよね?

別の例えを出すと

バーベルでベンチプレスをしていると想像してください。


100kgのバーベルを下すときに、重力にあらがわずに、ストーンとおろすと楽だと思います。

そうではなく、重力に対抗して、ゆっくり降ろすと先ほどと違って大きなパワーが必要でしんどいと思います。

バーベル自体は、100kgで同じなのですが、必要とされる力は、かなり違いますよね?

これが、質量と力の区別が必要とされる例えです。

質量を知りたいのではなく、力(パワー)の方がポイントなので、そちらを考慮する必要がありますよね?

このあたりの説明で、レスキュー活動の実務をする方は十分に間に合うとわたしは思います。

その他、内容的にかぶるものはありますが、リギングプレートと力のことについての記事もあります。

リギングプレートの強度と運用荷重

RESCUE JAPANブログ