ニュートン( N ) ちからの単位




カラビナやアンカープレートに記載されている、KNという刻印をよく目にすると思います。KNのNはちからの単位でニュートンと呼びます。

この写真では、MBS50KNと記載されています。

MBSとは、Minimam Breaking Strength(ミニマムブレーキングストレングス)の頭文字をとったもので、最小破断強度を意味します。

スタティックロープはもちろん負荷がかかるレスキュー用品で使用される用語です。これは、素材や装備が破断(切れたり壊れたり)するまでに耐えられる最低限の力を指します。MBSは、適切な資器材をを選ぶそして組み合わせるための目安となります。

また、写真では、WLL 12.5KNの文字も見えます。

記載されている「WLL」とは、Working Load Limit(作業負荷限界)の略です。これは、安全に使用できる最大の負荷(重さ)を示す基準であり、レスキュー用品だけでなく、工場で使用されるクレーン、チェーン、シャックルなどの荷重を扱う機器でよく見られる表記です。

そしてそれらに記載されている単位は、KN(キロニュートン)で表記されています。

そこで今回は、ニュートンについて整理します。


ニュートンは力の単位で、この名前は、あのリンゴが落ちることによって地球の重力を発見した物理学者のニュートンに由来します。

私たちが普段よく使うKgは質量の単位で、力の単位とは少し違います。

ウィキペディアで調べてみると

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1ニュートンは、1kgの質量をもつ物体に1メートル毎秒毎秒(m/s2の加速度を生じさせる力と定義されています。
地球表面において質量1キログラムの物体の重量は約9.81ニュートンです。
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なお、レスキューでよく使われる単位は、1kNなので、ニュートンの千倍


1kN=1000N 1000N÷9.81=101,9kgとなり

1kNは約100kgとなります。


私もそうでしたが、物理が苦手な人は、ここまで説明しましたが上記忘れて下さい。



ただ、ただ、1kNは約100kgの結論を覚えて、もしなぜ1kNは約100kgか聞かれたら、「それは物理法則だから」と答
えるというのもひとつの手ですが、

簡単に説明すると、kgは、質量の単位、すなわち量の単位です。

KNは、力の単位です。

量と力を区別する理由は、

100kgの物は、平坦な場所でも坂道でも100kgです。

但し、平坦な場所でなく摩擦抵抗の多い坂道を100kgの物を引っ張り上げるには、どれだけの力(パワー)が必要か、また、その必要とされるパワーによりロープをはじめ資器類がどれだけの力で引っ張られるのかを知りたいですよね?

別の例えを出すと

バーベルでベンチプレスをしていると想像してください。


100kgのバーベルを下すときに、重力にあらがわずに、ストーンとおろすと楽だと思います。

そうではなく、重力に対抗して、ゆっくり降ろすと先ほどと違って大きなパワーが必要でしんどいと思います。

バーベル自体は、100kgで同じなのですが、必要とされる力は、かなり違いますよね?

これが、質量と力の区別が必要とされる例えです。

質量を知りたいのではなく、力(パワー)の方がポイントなので、そちらを考慮する必要がありますよね?

このあたりの説明で、レスキュー活動の実務をする方は十分に間に合うとわたしは思います。

その他、内容的にかぶるものはありますが、リギングプレートと力のことについての記事もあります。

リギングプレートの強度と運用荷重

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