アサップでの2人ビレーについて

近年、アサップを2人用のビレイとして使用してる写真があるのですがNFPAの規格じゃなくても使用している根拠は何でしょうか?

 

という質問を頂きました。

 

確かに、最近、SNSなどでよく見かけます。

 

ご質問について2つの視点でお答えいたします。

 

①「NFPAの規格じゃないのに使用はどうか?」

 

そもそもプルージックコードはNFPAの規格ではないではありません。

それにもかかわらずタンデムプルージックとしてビレーに使われています。

なのでNFPA規格にこだわる必要がないと思います。

 

②「2人用ビレーとしてどうなのか?」

 

アサップの下部につけるショックアブソーバーには、1人用のものと2人用に対応した「アサップソーバーアクセス」があります。

アサップもしくはアサップロックにこのアサップソーバーアクセスをつけて行うならば2人用のビレーとしては使えます。

 

但し、衝撃荷重を受けた場合、ショックアブソーバーが1.70m伸びてしまうため、BCTRのドロップテストの基準は満たしません。

この点の問題はありますが、自動追尾型でビレーを行える大きな利点があります。

 

メリットとデメリットを考慮して行うことがポイントとなります。

ART1 埼玉の実施

先日、埼玉でアドバンスドロープレスキュー(ART1)を実施しました。

この日は、梅雨明けにもかかわらずあいにくの雨。

川の水が増えていて、スプラッシュなロープレスキューになりました。

Vストラップの様子

 

最近はクラッチやMPDを使っての2テンションシステムを行うことが多いので、ホットチェンジを行うことがめっきり少なくなったので、今後はART1で紹介して実施してもらうようにしようと取り組んでいきます!

基本からの発展による幅の拡がりがアドバンスのコンセプトなので、以前、TRRで紹介はしていたけれども近年道具の発達で紹介しきれていないもの今後積極的に取り入れてみようと思っています。

 

 

アリゾナボーテックスの合力の間違い

ロープレスキュでのフレーム、アリゾナボーテックスのガイラインの話しを前回ご紹介しましたが、今回は、それを発展させて、よくある間違いについて述べたいと思います。

 

アリゾナボーテックスの使用の原則の一つに合力があります。

合力とは、2つ以上の力が作用するときに、それらが生み出す合成の力のことです。

この合成された力を合力と呼びます。

 

アリゾナでは、本体に付けたプーリーを介して左右に流れるロープが作り出す2つの力が合成され、それらが合力を生み出し、そしてこの合力をいかに見極めるかということです。

 

ロープは目に見えますが、合力は目に見えません。

見えないものを見る目を養い、これを活用することが重要です。

 

実際に写真でみると

 

 

上記の写真では、合力が少し後ろズレになっている様子が分かります。

プーリーの向きに注目してください。これが合力の向きです。

 

合力が変な方向に向いていると不安定な状態になり、よい方向に向いているとボーテックスは安定します。

この概念を把握して間違えないようにして下さい。

間違えでいうと、合力のことをフォースという人が多々いらっしゃいますが、

 

合力は正しくは、リザルタントです。

フォースだけだと力のことを指し示し、プーリーを介して左右に流れるロープのフォースや合成された力もフォースですし、重力もフォースです。

 

フォースだと複数のちからのどれを指し示しているか曖昧になるので、リザルタントもしくは合力(ごうりょく)と呼ぶのがよいと思います。

 

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