ロープの耐熱温度の比較

スターリンロープがインターナショナルレスキューシンポジウムで発表したロープに関する耐熱温度やその実験結果の情報をお伝えします。

素材自体の耐熱温度は個々に調べればわかりますが、次の資料は一覧でまとまっていてわかりやすいので紹介します。

 

 

残念ながら温度はC(摂氏)でなくF(華氏)なので換算したものを以下です。

 

表の左の赤はSteam tracing(蒸気配管)です。

 

蒸気配管  371度
ダイニーマ 121度
ポリプロピレン115度
ナイロン 215度
ポリエステル 207度
テクノラ 487度
ケブラー 490度
トワロン 487度

 

なお表には詳細な数字がなかったので表より読み取りました。

 

蒸気配管にロープが接しても耐えれるものは、テクノラ、ケブラー、トワロンという結果になっています。

 

ポリエステルは37秒でこんな感じに溶けています。

 

テクノラは溶けていませんが、上記のように焦げています。

カラビナのかけ方 ハーネス編

先日、京都でART3(宙吊り救助)を行いました。

 

 

宙吊り救助(ピックオフレスキュー)に特化した1日コースです。

 

その中でカラビナに関しての項目について述べます。

 

要救助者と救助者とが連なって降りる構造となる宙吊り救助ですが、カラビナをどこに掛けるかによって救助者の負荷や要救助者の体位が変わります。

 

エイト環の時代は、下降器のカラビナを入れる穴が大きかったので、救助者のカラビナと要救助者用のカラビナを同じ下降器の根本の穴に2つ入れることが可能でした。

 

最近の下降器は、カラビナを入れる穴が一つであるためともすると自分のハーネスにカラビナを掛けて要救助者と連結してしまうことがあります。

 

その難点は、自分のハーネスに自分の体重に加えて、要救助者の体重も乗ってくるため倍の重量がかかることになり自分自身に掛かる負荷が大きくなります。下降器にカラビナを2つ掛ける分には、重さは下降器事体に掛かるため問題はありません。

 

また、下降器で自分で降りていく宙吊り救助は非常に大変なため、上部制動で降ろしてもらうのが楽です。

 

次に要救助者のハーネスのどこにカラビナを掛けるかですが、通常の腰の部分にかけるとエビぞりになってしまうことがあります。

 

以下の写真では、このエビぞりを防ぐために胸の部分にピックオフストラップを掛けています。

 

カラビナを一つ掛ける部分を変えるだけで大きな変化があり、ちょっとしたことが違いを産み出していました。

2テンションシステムのデメリット

2テンションシステム、またの名をツインテンションシステム、またまたの名をミラーシステムやミラードシステムと呼ばれる方法です。

 

従来のメインビレーシステムと違うやり方で、メイン100の荷重、ビレーは0の荷重でシステムを運行させるのではなく

 

1本のロープに荷重50%、もう一本の荷重に荷重50%と双方のロープに荷重を乗せて行う方法です。

MPDが出てからロープレスキューのシステムの運用方法が大きく変わった方法ですが、数年前にMPDの開発者のカークさんからプロトタイプのMPDとともにそのやり方を教えてもらった時には、これほどまでに注目されるとは思っていませんでした。(汗)

 

メリットは、当社で行うテクニカルロープレスキュー(TRR)でもご紹介していますし、色々な所で語られているのであえて語ることは今回はしませんが

 

梅雨のこの時期ならではのあまり語られることのないデメリットについて記載します。

梅雨ならではの、MPDやクラッチやマエストロを使ったツーテンションシステムのデメリットは以下です。

 

 

「なんじゃこれ」となるかも知れませんが。この写真は、泥まみれになった、白色ロープです。

 

そうなんです。泥や雨の環境での2テンションシステムは、非常にやりづらいです。

 

ロープが思い通り出ない、出ない。スースーと意図しない出方になります。

 

こんな時は、元祖の”ブレーキバーとプルージック”のメインビレーシステムが個人的な意見ですがやり易いです。

 

梅雨ならではの話題でした。

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