カラビナのかけ方 ハーネス編

先日、京都でART3(宙吊り救助)を行いました。

 

 

宙吊り救助(ピックオフレスキュー)に特化した1日コースです。

 

その中でカラビナに関しての項目について述べます。

 

要救助者と救助者とが連なって降りる構造となる宙吊り救助ですが、カラビナをどこに掛けるかによって救助者の負荷や要救助者の体位が変わります。

 

エイト環の時代は、下降器のカラビナを入れる穴が大きかったので、救助者のカラビナと要救助者用のカラビナを同じ下降器の根本の穴に2つ入れることが可能でした。

 

最近の下降器は、カラビナを入れる穴が一つであるためともすると自分のハーネスにカラビナを掛けて要救助者と連結してしまうことがあります。

 

その難点は、自分のハーネスに自分の体重に加えて、要救助者の体重も乗ってくるため倍の重量がかかることになり自分自身に掛かる負荷が大きくなります。下降器にカラビナを2つ掛ける分には、重さは下降器事体に掛かるため問題はありません。

 

また、下降器で自分で降りていく宙吊り救助は非常に大変なため、上部制動で降ろしてもらうのが楽です。

 

次に要救助者のハーネスのどこにカラビナを掛けるかですが、通常の腰の部分にかけるとエビぞりになってしまうことがあります。

 

以下の写真では、このエビぞりを防ぐために胸の部分にピックオフストラップを掛けています。

 

カラビナを一つ掛ける部分を変えるだけで大きな変化があり、ちょっとしたことが違いを産み出していました。

2テンションシステムのデメリット

2テンションシステム、またの名をツインテンションシステム、またまたの名をミラーシステムやミラードシステムと呼ばれる方法です。

 

従来のメインビレーシステムと違うやり方で、メイン100の荷重、ビレーは0の荷重でシステムを運行させるのではなく

 

1本のロープに荷重50%、もう一本の荷重に荷重50%と双方のロープに荷重を乗せて行う方法です。

MPDが出てからロープレスキューのシステムの運用方法が大きく変わった方法ですが、数年前にMPDの開発者のカークさんからプロトタイプのMPDとともにそのやり方を教えてもらった時には、これほどまでに注目されるとは思っていませんでした。(汗)

 

メリットは、当社で行うテクニカルロープレスキュー(TRR)でもご紹介していますし、色々な所で語られているのであえて語ることは今回はしませんが

 

梅雨のこの時期ならではのあまり語られることのないデメリットについて記載します。

梅雨ならではの、MPDやクラッチやマエストロを使ったツーテンションシステムのデメリットは以下です。

 

 

「なんじゃこれ」となるかも知れませんが。この写真は、泥まみれになった、白色ロープです。

 

そうなんです。泥や雨の環境での2テンションシステムは、非常にやりづらいです。

 

ロープが思い通り出ない、出ない。スースーと意図しない出方になります。

 

こんな時は、元祖の”ブレーキバーとプルージック”のメインビレーシステムが個人的な意見ですがやり易いです。

 

梅雨ならではの話題でした。

NFPA1983 G(ゼネラルユース)とT(テクニカル)ユースの誤解が根強い

以前から根強いNFPA1983 ゼネラルユース、略称Gユースとテクニカルユース略称Tユースの誤解について記載します。

NFPA1983は、Standard on Life Safety Rope and Equipment for Emergency Serviesのタイトルがつけられた米国防火協会が定めた基準の一つで、1983は緊急機関のためのライフセーフティロープと資器材のための規格です。

カラビナをはじめ各種機材に1983の刻印がされています。

NFPA1983 Tの文字が見えます


そしてよくある誤解の内容は、Gユースは2人用でTユースは1人用であるということです。

Tユースは1人用のパーソナルユースでなく、“テクニカルユース”です。


Techincalを辞書では、「技術的な」とか「専門的な」という意味となっています。

テクニカルという名称がついているように、具体的には技術をともなった使用が想定されており、テクニカルなロープレスキューをはじめ、高所、コンファインドスペース、リバーレスキューなどでの救助です。


テクニカルな救助では、当然、担架に要救助者をのせて搬送したり、宙吊り救助での使用等が想定されています。

テクニカルユース用の機器の特徴は

1.強度と耐久性: 厳しい条件下での使用に耐えるため、特に高い強度と耐久性が求められています。

2.多機能性: さまざまな救助シナリオに対応するため、これらの機器は多機能的であることが多く、調節可能な特徴を持っています。

3.安全基準: 耐荷重試験、耐熱性、耐摩耗性などの一定の基準を満たすことが要求されています。

1人用の救助ということは出てきていません。

誤解のもとになっていると思われる理由は、

以前、Tユースは、Lユース(ライトユース)と呼ばれており、ライトユース時代には、パーソナルユースの機材もここに含まれていたため、その名残りがあるのだと思います。


現在では、Pユース(パーソナルユース)が独立してあるため、1人用という意味ではこのPがその意図に当てはまります。

NFPA1983 Pの文字が見えます

この誤解があるとどんな不具合があるか?その理由ですが、

当然、テクニカルユースの資器材ですがから、Tユースの中には多くの使いやすい資器材があります。軽量で小回りの利く道具です。具体的には、先ほど写真であげたレスキューセンダーや小ぶりのカラビナ類もそうです。

私は、TユースとGユースを車で例えることが多いのですが、Tユースはスポーツカー、Gユースはファミリーカーと表現しています。

重厚で壊れにくいファミリーカーの使用の幅の広さ、ラフに扱われるても丈夫なことに対する安心感は魅力です。

但し、スポーツカーの速さ、軽量化感も捨てがたいです。無理にな扱いをすると壊れてしまったりするかもしれませんが、分かっている人が乗ればそれは問題視することはありません。

こんな例えで表現しています。

ここは日本ですしまたアメリカにおいてもNFPAは法律ではないのでこだわる必要もないですが、規格認証製品の安心感はあります。

但し、あくまでも道具なので、どんな場所で誰がどう使うか、また、その道具のメンテナンス状況は適格かこれらも重要になってくると私は思います。

RESCUE JAPANブログ