アリゾナボーテックスの合力の間違い

ロープレスキュでのフレーム、アリゾナボーテックスのガイラインの話しを前回ご紹介しましたが、今回は、それを発展させて、よくある間違いについて述べたいと思います。

 

アリゾナボーテックスの使用の原則の一つに合力があります。

合力とは、2つ以上の力が作用するときに、それらが生み出す合成の力のことです。

この合成された力を合力と呼びます。

 

アリゾナでは、本体に付けたプーリーを介して左右に流れるロープが作り出す2つの力が合成され、それらが合力を生み出し、そしてこの合力をいかに見極めるかということです。

 

ロープは目に見えますが、合力は目に見えません。

見えないものを見る目を養い、これを活用することが重要です。

 

実際に写真でみると

 

 

上記の写真では、合力が少し後ろズレになっている様子が分かります。

プーリーの向きに注目してください。これが合力の向きです。

 

合力が変な方向に向いていると不安定な状態になり、よい方向に向いているとボーテックスは安定します。

この概念を把握して間違えないようにして下さい。

間違えでいうと、合力のことをフォースという人が多々いらっしゃいますが、

 

合力は正しくは、リザルタントです。

フォースだけだと力のことを指し示し、プーリーを介して左右に流れるロープのフォースや合成された力もフォースですし、重力もフォースです。

 

フォースだと複数のちからのどれを指し示しているか曖昧になるので、リザルタントもしくは合力(ごうりょく)と呼ぶのがよいと思います。

 

ダブル滑車のシングル使いについて

ダブルプーリー(ツインプーリー)のシングル使いについて

 

ダブルプーリーは当然、ロープを2本入れてダブルで使うのが望ましいです。

 

但し、状況によりシングルで使わざるを得ない場合もあると思います。

そのための補足情報です。

 

(わざとにサイドプレートにあてています)

実際に上げ下げをしながら幾度か試しています。以下の問題点や注意点はありますが、それを回避するなら使えなくはないと私は思います。

 

1,衝撃荷重がかかるような使い方はしない

(片ぎぎなので出来るだけひずませたくないです。)

 

2.サイドプレートにロープがすったりしないようにする

(ロープが擦れてしまいます)

 

賛否両論あると思いますが、情報提供まで!

 

ロープレスキューやアリゾナボーテックスの学び方

経済学者であり、「超 整理法」の著者である、野口悠紀雄さんの「超 勉強法」が本箱の奥から出てきました。

 

チラ見すると、「『基礎から一歩、一歩』式の学習法ではいくら努力しても成果はあがらない。必要なのは楽しみながら成果が得られる勉強法だ。」

また、以下の記述もありました。

 

「自動車を運転するのに、内燃機関の原理について正確な知識を持つ必要はない。

それより、アクセルの踏み加減を体得する方が重要だ。

テレビを見るのに、半導体の知識は必要ない。スイッチの操作をしていれば十分だ。」

 

そういう意味では、レスキューにも当てはまり、例えばアリゾナボーテックスを学ぶのに構造力学の正確な知識は必要ないし、カラビナやロープなどの強度に関する詳しい知識を得るために、材料力学、材料強度学、破壊力学などもほとんど不要だと感じます。

 

厳密な基礎知識を学ぶより、基本概念をさっと理解して、安全に配慮しながら体験から楽しくまたは興味深く学ぶことが重要だと再認識しました。

 

私個人としてもこのような考えで学んでいこうと思いますし、講習会を実施するときも楽しくまたは興味深く学べる環境作りに配慮して行きます。

 

RESCUE JAPANブログ