ムンターヒッチ|複数の作り方、使用と固定方法、弱点

ムンターヒッチとは?

ムンターヒッチ(別名イタリアンヒッチ、のの字)



ムンターヒッチとは、ロープの摩擦抵抗を使い、懸垂降下や上部制動をかけて救助隊員や荷物をを降ろしたりをしたりする巻きつけ結び(ヒッチ)のことです。 別名でイタリアンヒッチ、ハーフマストノット(半マスト)、「のの字」などと呼ばれます。

また、クライミング時にビレー(確保方法)としても使われます。

下降器などの器具がなくても、カラビナさえあれば作成可能であるところが利点です。

欠点は、ロープにキンクと呼ばれるよじれが生じることやロープの摩擦を利用して制動をかけるのでロープが擦れるため摩耗度合が器具を使う方法にくらべ大きいことが欠点です。

但し、これら欠点を補って余りあるほどの、利便性があるため、ロープレスキューを行う人はもちろん、クライミングやロープ高所作業、ツリークライミングなどのロープを扱う人は必ず身に付けておくべき、知識、技術です。

●基本的な作り方





まずは、ロープに写真のようなループを作ります。

 

もう一つ同じ様にして2つのループを作ります。
そうすると、ループの交差点がたがい違いになるようになっているはずです。左右のロープエンドが上と下に流れていれば正解です。
 
 



そして2つのループを重ねます。



重ね方は2つを本を折りたたむように合わせます。
 
 




最後に、カラビナをかければ完成です。
 
 ●カラビナに掛けた状態からの作り方

次に、カラビナにかけた状態からのムンタ―ヒッチ作成方法についてです。

状況によっては、このような形で作らなければいけないときもあるので基本の方法とともに作成出来るとカラビナを取り外す必要がないので便利な時があります。



まずはロープをカラビナに掛けます。



そして、カラビナを必要に応じて押さえ



後ろ側のロープをとってきて手前のロープを介し
カラビナの後ろから前にかけます。
(写真は、見やすいように横から見た状態にしています)



そうするとムンターヒッチの出来上がり  

●動画で解説


以下では、ムンタ―ヒッチの基本的な結び方や使い方また注意点を動画で解説しています。


●番外編 スーパームンター


ムンターヒッチの親玉 スーパームンター、別名 モンスタームンターについては、以下をご覧ください。

スーパームンター(モンスタームンター)について

●ムンターヒッチでの懸垂下降


下降器がない場合は、応急的な方法としてカラビナでムンターヒッチを作成し懸垂降下する方法が用いられます。

カラビナさえあれば、懸垂降下を行うことが出来るのでクライミングなどのアウトドアの環境でもよく用いられます。

ムンターヒッチでの懸垂下降


ムンターヒッチでの懸垂下降を行う場合は、上記の写真のようにカラビナの向きに注意をしてください。

具体的には、ロープがカラビナを流れて出ていくスパイン側(背)に流れるようにセッティングしてください。スパイン側でなく、ゲート側をロープが流れると、ゲートにロープが干渉して不具合を発生させる場合があります。

●ムンターヒッチの固定ロック方法(作業姿勢)

ムンターヒッチの固定方法は各種あります。代表的なものとして、半結び2回、ムンターミュールノットがあります。

今回は、消防救助でよく行われる半結び2回の方法をご紹介します。

まずは、ロープを上に持ってきます。


そしてカラビナに出来ているムンターヒッチの部分を抑えロープが流れ出ないようにします。



そして、ロープを写真のように輪に通します。


そして通した輪を抜き1回目の半結び

そして2回目の半結び

2回目を抜き切って完成

●ムンターヒッチの弱点

ムンターヒッチの弱点は、ロープ同士の摩擦を利用して懸垂下降や荷下ろしを行う仕組みのため、どうしてもロープに擦れが生じてしまうことです。

また、ムンターヒッチを利用すると、ロープにキンクと呼ばれる拠れが発生してしまいそのまま放置するとロープ操作がしずらくなってしまいます。

そのため、適時このキンクを捻じれた方向と逆に戻しキンクを解消する必要があります。

ムンターヒッチの使用によりロープにキンクが発生する様子


大洲TRR

 

5/16~18まで愛媛県の大洲でTRRーTを実施しました。
今回の実施場所は、築70年の廃校になった小学校で寺子屋的な雰囲気での机上講習でした。


実地講習においても、Aフレームがいつもとは一味違った設定になりました。場所的に、前にアンカーを取ることが難しく、後ろのみでフレームを支え、これを補助する形で左右に人がついてシステムを運行する形です。

こんな形になります。横から。

前からの図。
最初に設置した時、フレームの倒し角度が浅かった事と、折り返しのプーリーの位置がフレームの後方にかなり出すぎたことが重なり、降ろしから引き上げに切り替え倍力をかけるとフレームが後ろへ倒れこみフレームを制御することが出来なくなりました。

人が押さえつけてもフレームが倒れこんでいる所
そこで、Aフレームに以下の修正をかけました。
1.メインラインの半分の角度にフレームがくるように倒し角を増やした。
2.プーリーの位置をフレームから離れ過ぎないように調整した。

調整後のAフレーム
設定しなおした後は、安定してシステムを運行させることが出来ました。

 

ハイドロバー

 

 



新しい下降器を紹介します。
名前をハイドロバーといい。キャニオニング(滝くだり)をするための下降器として開発されたものです。

この下降器は、シングルでもダブルでもいずれのロープにもセットできるようになっています。
また、降下中にロープを本体に巻きつけることによって容易にフリクションを調整することが出来きます。
エイト環と違いロープをまっすぐにセットするためキンクを生じることがありません。

 

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