2テンションシステムのデメリット

2テンションシステム、またの名をツインテンションシステム、またまたの名をミラーシステムやミラードシステムと呼ばれる方法です。

 

従来のメインビレーシステムと違うやり方で、メイン100の荷重、ビレーは0の荷重でシステムを運行させるのではなく

 

1本のロープに荷重50%、もう一本の荷重に荷重50%と双方のロープに荷重を乗せて行う方法です。

MPDが出てからロープレスキューのシステムの運用方法が大きく変わった方法ですが、数年前にMPDの開発者のカークさんからプロトタイプのMPDとともにそのやり方を教えてもらった時には、これほどまでに注目されるとは思っていませんでした。(汗)

 

メリットは、当社で行うテクニカルロープレスキュー(TRR)でもご紹介していますし、色々な所で語られているのであえて語ることは今回はしませんが

 

梅雨のこの時期ならではのあまり語られることのないデメリットについて記載します。

梅雨ならではの、MPDやクラッチやマエストロを使ったツーテンションシステムのデメリットは以下です。

 

 

「なんじゃこれ」となるかも知れませんが。この写真は、泥まみれになった、白色ロープです。

 

そうなんです。泥や雨の環境での2テンションシステムは、非常にやりづらいです。

 

ロープが思い通り出ない、出ない。スースーと意図しない出方になります。

 

こんな時は、元祖の”ブレーキバーとプルージック”のメインビレーシステムが個人的な意見ですがやり易いです。

 

梅雨ならではの話題でした。

パーセルの径が6mmな理由について

今年よりテクニカルロープレスキュー(TRR)の教科書が新しくなりました。

その中に、パーセルの記載があります。

 

バーセルループ

 

パーセルは、6mmまたは7mmがよいと書かれていてます。私の頭の中では、パーセルは6mmという概念が固定化されていたので7mmという表記に驚きました。

 

固定化の要因は、スターリンのミシンで縫われているパーセルが6mmなこと、アメリカのインストラクターのリードさんが常に6mmパーセルを使っていたからです。

 

但し、プルージックの径が8mmなので、わざわざ径をかえずとも8mmでもいいのではないと頭をよぎりましたが、以下の理由で6mmが多く使われていると考えます。

 

一番の理由として考えられるのは、レストレイントの補助ロープが8mm径を使うことが多いので、それに巻き付け使用するには、8mmでなく6mmである必要があります。同径だと巻き付けても上手く保持しないためです。

 

次の理由は、かさばらないためです。チェスト、ショート、ロングの3種類を個人使用のために保持するためには、なるべく細い径でかさばらない方がよいと考えます。

 

また、8mmはチーム用で2人荷重にも対応させ、パーセルは個人用として1人荷重として使うなら、明確に径が違う方が誤使用を回避できると考えます。

 

これらの理由が、パーセルループが8mmでなく6mmや7mmが使われている理由だと推論してみました。

 

 

NFPA1983 G(ゼネラルユース)とT(テクニカル)ユースの誤解が根強い

以前から根強いNFPA1983 ゼネラルユース、略称Gユースとテクニカルユース略称Tユースの誤解について記載します。

NFPA1983は、Standard on Life Safety Rope and Equipment for Emergency Serviesのタイトルがつけられた米国防火協会が定めた基準の一つで、1983は緊急機関のためのライフセーフティロープと資器材のための規格です。

カラビナをはじめ各種機材に1983の刻印がされています。

NFPA1983 Tの文字が見えます


そしてよくある誤解の内容は、Gユースは2人用でTユースは1人用であるということです。

Tユースは1人用のパーソナルユースでなく、“テクニカルユース”です。


Techincalを辞書では、「技術的な」とか「専門的な」という意味となっています。

テクニカルという名称がついているように、具体的には技術をともなった使用が想定されており、テクニカルなロープレスキューをはじめ、高所、コンファインドスペース、リバーレスキューなどでの救助です。


テクニカルな救助では、当然、担架に要救助者をのせて搬送したり、宙吊り救助での使用等が想定されています。

テクニカルユース用の機器の特徴は

1.強度と耐久性: 厳しい条件下での使用に耐えるため、特に高い強度と耐久性が求められています。

2.多機能性: さまざまな救助シナリオに対応するため、これらの機器は多機能的であることが多く、調節可能な特徴を持っています。

3.安全基準: 耐荷重試験、耐熱性、耐摩耗性などの一定の基準を満たすことが要求されています。

1人用の救助ということは出てきていません。

誤解のもとになっていると思われる理由は、

以前、Tユースは、Lユース(ライトユース)と呼ばれており、ライトユース時代には、パーソナルユースの機材もここに含まれていたため、その名残りがあるのだと思います。


現在では、Pユース(パーソナルユース)が独立してあるため、1人用という意味ではこのPがその意図に当てはまります。

NFPA1983 Pの文字が見えます

この誤解があるとどんな不具合があるか?その理由ですが、

当然、テクニカルユースの資器材ですがから、Tユースの中には多くの使いやすい資器材があります。軽量で小回りの利く道具です。具体的には、先ほど写真であげたレスキューセンダーや小ぶりのカラビナ類もそうです。

私は、TユースとGユースを車で例えることが多いのですが、Tユースはスポーツカー、Gユースはファミリーカーと表現しています。

重厚で壊れにくいファミリーカーの使用の幅の広さ、ラフに扱われるても丈夫なことに対する安心感は魅力です。

但し、スポーツカーの速さ、軽量化感も捨てがたいです。無理にな扱いをすると壊れてしまったりするかもしれませんが、分かっている人が乗ればそれは問題視することはありません。

こんな例えで表現しています。

ここは日本ですしまたアメリカにおいてもNFPAは法律ではないのでこだわる必要もないですが、規格認証製品の安心感はあります。

但し、あくまでも道具なので、どんな場所で誰がどう使うか、また、その道具のメンテナンス状況は適格かこれらも重要になってくると私は思います。

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