ロープについてのQ&A

今回はロープについてのQ&Aの紹介をさせて頂きます。

 

Q:クライミングロープと都市型ロープレスキューで使用する救助ロープ、通常消防で使用されているナイロンレンジャーロープとでは何が違うのでしょうか?

 

A:まずクライミングロープと都市型ロープレスキューで使用する救助ロープの違いは、ロープの伸び率の違いです。

 

クライミングロープはダイナミックロープと呼ばれ、下から上に登って行く時に、万一の落下時にそなえた確保ロープとして用いられます。万一の落下の際にロープが伸びることによって、その衝撃荷重を和らげるために意図的に伸びる性質を持たせて作られたロープです。例えるならば、バンジージャンプのロープをイメージしてみて下さい。人が高所から落下した場合でもロープが伸びることによって落下の衝撃を吸収し、人やシステムに大きな衝撃荷重がかかるのを防ぎます。

逆に、都市型ロープレスキューで使用する救助ロープは、スタティックロープと呼ばれ、上に支点をとり荷重物を上げたり降ろしたりする際に、ロープが伸びることなく、効率かつ安定的に作業が出来るように意図して作られたロープです。作業で使われるワイヤーコードをイメージして見て下さい。

重い荷物を上げる時にロープが伸びることなく、すなわち不要なカラ引きなどせずにすぐに重量物を上げられます。ゴムロープで重い物を持ち上げるのを想像してみてください。荷重を受けるまでかなりのカラ引きが発生します。

また、降ろす際にも不必要な伸びが出ないため、安定した状態で荷重物を降ろせます。こちらもゴムロープで重い物を下ろすことを想像してください。エッジ際に担架を出して、手を離した瞬間に担架がその位置に留まるのではなく、かなり下までロープが伸び、担架が崖下に落ちて行くことがイメージ出来ると思います。

 

次にナイロンレンジャーロープとクライミングロープやスタティックロープの違いは構造の違いです。

レンジャーロープは、撚り構造、クライミングロープやスタティクロープはカーンマントル構造になっています。

カーンマントル構造は、外皮と中芯の二重構造になっており、荷重を受け持つ中芯が外皮によってガードされていて安全度が高いこと、また近年発売されている、機械物の下降器は、カーンマントル構造のロープでのみ使用するようにと指定されているためこれら器具を使うためにカーンマントルロープが必要になってきます。

 

上記を整理すると

ロープの性質による区分

・ダイナミックロープ(伸びる)
・スタティックロープ(伸びない)

ロープの構造による区分

・撚り構造(レンジャーロープ等)
・カーンマントル構造(クライミングロープ、スタティックロープ)

になります。

 

 

ビレイ器具について

以前、ビレイ器具についてのご質問を頂きましたのでご紹介いたします。

 

Q:あくまでも自己責任となりますが、ビレイ器具としてエイト環、ストップ、スカラベなどの制動機の使用はやはりお勧めしないということになりますよね?
MPD
は大変高価なもので現段階では購入できる状況にありません。ビレイの選定に苦慮しています。現状、タンデムプルージックを考えていますが、ご意見お願いします。

 

A:エイト環、ストップ、スカラベなどの制動器のビレイとしての使用はお勧めしません。
特に、2人(200kg
)の荷重を確保するケースでは、万一の場合、大きな衝撃荷重が発生しこの衝撃荷重を上記制動器では受け止めることが出来ないケースが多々あることを北米のビレイの実験が証明しています。

 

よって2人以上の救助時のビレイには、タンデムプルージック、540ビレイ、MPDなどの北米の実験結果を受けて2人の荷重を受け止めることが出来る器具を使用することを推奨いたします。

 

540ビレイ ラージ

https://www.rescue-japan.com/SHOP/1391500551.html

 

【動画】540ビレイの使用方法(映像はスモールサイズを使用)

 

MPD 11mm

https://www.rescue-japan.com/SHOP/1391500431.html

MPD 13mm(12.5mm)用

https://www.rescue-japan.com/SHOP/1391500433.html

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