以下のような質問をレスキュージャパンの事務所に頂きました。
Q ロープレスキュー技術について質疑があり、ご連絡しました。
当組織では、ロープについては、11mmのメーカー違いの2種類を主に運用しております。
また、プルージックコードはスターリン社製の7mmプルージックを昨年から使用してます。
先日、活動中にラチェットプルージックがプーリーの中に中に入り込む事象が発生しました。ロープの切断等の事故は発生しませんでしたが、今後も起こりうる可能性があると感じました。
チーム内で質疑が出ました。以下ご回答いただけますか?
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①今回のラチェットプルージックが入り込む事象に関して、同様の事案の発生を確認したことがありますか?
② 7mmプルージックはパーソナルユースと考えていますが、御社のホームページでは11mmに対して7mmのプルージックも適正と記載されていますが、パーソナルユースとして適正というニュアンスでしょうか?
③プルージックコードのスリップロードについての根拠文章は提示いただけますでしょうか?
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回答いたします。
①について
Q .今回のラチェットプルージックが入り込む事象に関して、同様の事案の発生を確認したことがありますか?
A. 過去にプルージックがブレーキマインドレスプーリーに入り込む事例はいく度もあります。ブレーキマインドレス、プルージックマインドレスプーリー、PMP等でよばれるものすべてですが、基本的にはプルージックは入り込まないようなデザインになっていますが、100%入り込まないものではなく、他の敷材も同じですが、運用時には、不具合がないか確認しつつオペレーションを行わないといけません。
特に、プーリーのサイドプレートにプルージックが位置すると入り込みやすくなります。
正しいプルージックの位置
この位置に来るとプルージックは食い込み易くなる
この時は、一旦、オペレーションを停止してプルージックの位置を修正してください。
②について
Q. 7mmプルージックはパーソナルユースと考えていますが、御社のホームページでは11mmに対して7mmのプルージックも適正と記載されていますが、パーソナルユースとして適正というニュアンスでしょうか?
A. 7mmプルージックはパーソナルユースではありません。NFPAの規格にプルージックの規格がないため、そもそもパーソナルでもゼネラルでもありません。
そのうえで、次のご質問とも関連するのですが、2人荷重に対するビレーの落下テストで7mmプルージック3回巻きと11mm ロープの組み合わせが落下実験に合格していることから、2人荷重(レスキューロード)に対応しているものです。
③について
Q. ③プルージックコードのスリップロードについての根拠文章は提示いただけますでしょうか?
A. はい、1980年代に行われた、有名な実験があります。
BCCTR(British Columbia Council of Technical Rescue、ブリティッシュコロンビア州テクニカル レスキュー評議会)の文章があるのですが、インターネットで調べても出てきませんでした。
変わりに、インターナショナルテクニカルレスキューシンポジュウムでのマイクギブスさんの発表データーが有意義だと思いますのでリンクを張っておきます。
RESCUE BELAYS:Important Considerations for Long Lowers